異国の地で病院にかかるのは不安なものです。
私達家族も、通院、入院、手術、検査等に何度もかかり、その都度大変な神経を使いました。
なので、これまで4年弱の経験をハウツーに纏めてみました。
単語帳としても機能する様に書きました。
これから駐在生活を始める方々の不安軽減に少しでも寄与すれば幸いです。
ここではHospital Sírio-Libanêsの例を紹介します。
同病院の救急外来窓口(この国でPronto Socorro『プロント・ソコーホ』と言います)入口の住所は、
Rua Barata Ribeiro, 387, piso 1 - Bela Vista – São Paulo (SP) – CEP 01308-050.
であり、病院自体の正門入口とは住所が違いますので注意が必要です。
正門からもPronto Socorroには辿りつけますが、病院内の迷路のような廊下とエレベータを使わなければならないので、最初から直接Pronto Socorroに行かれることをお勧めします。
1. 総合病院の救急窓口(Pronto Socorroと書いてある)へ行く
2. 正面のRecepção(受付)でNREを見せ、Senha(番号札)を受け取る
3.上記が終わって待合で待っていると、別のパネルに同じSenhaが表示される。今度は受付向かって左手にあるPronto
Atendimento①もしくは②の部屋に入る(病院によってはTriagemと書かれていることもある)。ここでは、重症度によって患者の緊急度合いに優先順位を付け以降の流れを振り分ける目的で、看護師による事前スクリーニングが以下の点について行われる。
・今の症状を聞かれる
いつから症状は発生しているか、現在薬は服用しているか、など
(熱Febre、傷みdor、痙攣convulsão、咳tosse、腹痛dor
de barriga、頭痛dor de
cabeça、吐き気nausea、嘔吐vomito、骨折したquebrou、転んだcaiu、打った
bateu)
日本から持って来たバファリンを服用している場合、一般名である「パラセタモル」と答える。
なお、この国の解熱鎮痛剤ではNovaginaなどの「dipirona」系がメジャー。
・体温を測る
・指先にクリップを挟んで脈拍を計る
・血圧を測る
・既往歴を聞かれる
・痛みのレベルで言うと1~10(10が最も強い)のどれにあたるかと聞かれる(遠慮しないでここでは8~9くらいに答えて構わない。これによって何かが大きく変わることは残念ながらあまりないのだけれども。)
・かかりつけの医師はサンパウロに居るか?と聞かれる
・待合で待てと言われる
4. パネルでSenhaが表示されたら、向かって右手のcadastro(登録)へ行く
ここでは全てのプロセスのスタートとなる初期登録を行う。
聞かれる内容は以下の通り
・住所、電話番号、CPF、RNEなどの基本情報
・Convenio
Médico(医療保険)はと聞かれるので、ブラジル国内の医療保険があるならそれを伝える。そうではなく一旦立替払いで後日日本の保険会社に請求するというケースでは(Particular=パチクラウ)と答える。このプロセスは病院側の財政管理上とても大切である為、重視される。
※ちなみにSírio Libanês病院はクレジットカードが使えます
・同意書にサインさせられる。数か所。
・患者の腕にIDとなる紙ベルトが巻かれる
(次は名前で呼ぶからと登録作業をしたのと同じ空間で待て言われSenhaはこれ以降使わない)
・一番奥に子供を遊ばせることの出来るスペースがあるので親が病気で子供は元気などというときには大いに役に立つ。しかしながら塗り絵程度のものしかないので、家からおもちゃを持参すると尚良い。
5. 名前で呼ばれ、診察室に入ると医師が待っている。
ここで気を付けたいのは、上記Pronto
Atendimentoの部屋で看護師に伝えた今の症状などは、いっさい共有されていないということ。なので、全く同じ質問が2度繰り返されることになるが、イライラしないで同じ受け答えをしよう。
・けが ferimento
・炎症 inflamação
・腫れ inchação
・腎臓結石 pedra nos rins
・盲腸 apendicite
・結膜炎 conjuntivite
・医師 médico(女性ならmédica)
・看護師 infermero(女性ならinfermera)
・超音波 ultrason
・レントゲン raio-x (ハイオ・シースと読む)
・CT-Scan tomografia
・MRI resonância magnética
6. 検査や点滴などをしてもらう場合には、別の部屋に移動するよう、指示される。ここでも結構な待ち時間がある。
・点滴 soro(soroには生理食塩水という意味もあるが、略式用法として点滴としても使われる)
・抗生物質 antibiótico
※点滴の際、空調が効いているので寒くなる。毛布はcobertor。
※個室の電気をつけるか消すかと聞かれることもある。つけるacsender、消すapagar。
7. 薬が必要な場合、医師が処方箋を書いてくれる(いまどきなんと手書き!)ので、それを外部の民間の薬局で購入する。抗生物質がある場合、処方箋は2枚必要で、一枚には受け取り手の詳細が記載され、薬局保管となる。身分証明書の提示も必要。
・錠 comprimido
・滴 gota
※こちらの抗生物質で面白いのは、粉が空のボトル(frasco)の中に入っているだけというのがある。それに一定量の水を自分でくわえて水溶液を作り、それを都度振りながら必要量出して飲んで行くというなんとも変わったものなのである。また、そもそも日本の様に調剤薬局というような場所は無いので、基本的には市販の医薬品を箱ごと買い、飲みきらなかったら捨てる、というような形式です。
※小児の医薬品は液体のものが多く、医薬品の箱の中に付属の注射器型のスポイトで吸い上げて口に投与するという形である。
※濃縮型の液体医薬品(solução
oral)だと、体重15~20kgの小児は15滴、60kg以上の大人は50滴、などと言う様に、少量の水に溶かす際に自分でポトポト落ちる液体を数えていなければならないものもある。
8. 再診 (retorno)
その日救急に詰めていた医師が再診を求めることは無く、基本的に救急外来は救急外来であくまで緊急措置だけを行うところだと。根底には人々はかかりつけ医に月金の営業時間内にかかるべきものという一般通念があります。
ただし手術などした場合には、さすがに経過観察の為の再診が必要となり、その場合当直の医師個人のクリニックに出向かなければならない。
ここでブラジルの病院経営形態について説明しなければならないのだが、医師はみなアウトソーシングである。病院勤務医は居らず、みな外部から契約の形でその場に詰めている。であるからして、再診の場は医師の個人クリニックなのである。
もともと医師の指示によりじゃぁ2週間後に予約電話してからココに来てねと言われ、電話でアポを取り、再訪するも、医師が「えーと、なんだっけ?」みたいなところから始まって、2週間前にSirio Libanes病院で手術してもらった○○で、再診ですみたいな説明を自分からしなければならず、挙句の果てには「ま、あとはかかりつけのドクターとよろしくやってね」みたいなことを言われる始末。受診料もしっかりお取りになります。
9. 病院名
今回例示のSírio Libanêsに加えて同じように一通りの診療科のラインナップが期待できる病院は以下の通りです
・Hospital Alemão Oswaldo Cruz (Rua Treze de Maio, 1.815 - Bela Vista, São Paulo)
・Hospital Santa Cruz (R. Santa Cruz, 398 - Vila Mariana, São Paulo)・・・日本語可能
・Hospital Nipo Brazileiro (R. Pistóia, 100 - Parque Novo Mundo, São Paulo)・・・市中から遠いがENKYOの本部である。土日はローカルの住民でごった返している。
10. 費用
最後に決済して帰ります。営業時間内だと会計部門(caixa)が空いていますが、そうでない場合は後日e-mailもしくは郵送で請求書(boleto)扱いとなることもあります。この点は病院によりマチマチです。
Sírio Libanêsクラスの病院だと、手術して個室に一泊すると百万円単位の請求が来るので、支払いがParticularの人はクレジットカードの限度額設定に余裕を持ちたいところです。
11. 時間軸
わりとかかります。
たとえば副鼻腔炎でPronto Socorroにかかった場合、診察して血液を採って薬品を注射してCT撮って結果待って最後の診察して、というプロセス。この場合空いている平日で、正午に行って全て終わるのが19時といった時間軸です。
しかし他のクリニックに行くよりは大分ましです。というのも、Hospital Sírio Libanêsレベルだと自らの病院内に全ての検査機器が整っているからです。クリニックだと医師が診察して、はい、この検査はあのラボで、結果出たら後日それをもってまた来てください、となるので。それよりは大いに早い。ただし費用が高いというtrade offになっている訳です。
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