2019年11月14日木曜日

電車内で出くわす事件たち

飲食店勤務を始めたこともあって、夜遅い時間に東海道線に乗ることが増えた。で、多く出くわすのが泥酔者と、嘔吐事件。

自分は酒をやめてもうすぐ3年になるが、世の中には前後不覚になるまで飲む人が結構沢山いるんだということに今更ながら気がついた。

もちろん、少し前の自分だって、同じ様に酩酊状態で電車に乗っていたクチではあります。しかしいったん外の世界から眺めてみると、まぁ異常な状況がそこにはあって、しだいに当時の自分が周囲にかけたいろんなことごとが思い出されて来たりして、それはもう本当に空恐ろしく申し訳なく感じる訳でありますが今日は客観的な観察記をふたつほど。

◆観察記その1
つり革につかまって、新橋から横浜手前まで立って寝ており、ゆらゆらーと振り子のような運動をしていた30代と思しき男性。最後、揺れが一際大きくなったかと思うと突然、オェーと手の中に。指の間からこぼれ落ちたサムシングが、ひとしずくほど前に座っている女性の膝に落下、女性凍結。

その彼の斜め前に立って角地にいた自分は、突然の出来事にフリーズしかかったけれども、とにかくこちらへと彼を誘い、壁際の場所を明け渡した。でも出来たのはそれだけで、しばし呆然としてしまった。

すると私の反対隣でずっとスマホゲームをしていた50代サラリーマン風の男性が、おもむろに自分の鞄の中からビニール袋を取り出して、彼に与えたのである。30代男性はオエオエとその中に続投しつつ、袋もやがてタプンタプンになりながらも、臨界点を迎える前に電車は横浜駅ホームに滑り込んだ。

サラリーマン氏、『ニイちゃん、もうすぐ横浜、降りる?なんだ、飲み過ぎか?』と手慣れた様子で降り口へ導き降車、凍結から我を取り戻してウェットティッシュ的なもので拭きとり作業をしていた被害女性も少し遅れて降りていった。

いったいあのあとどうしたんだろう。クリーニング代とか交渉しようにも酩酊状態の彼には話ができないと思われ、おそらくは泣き寝入りなのだろうが、気の毒としか言いようが無い。

そして感心したのはサラリーマン氏の落ち着き払った振る舞いである。あのサッと出てきたビニール袋は、まさに値千金、あれが無ければ相当の被害拡散が起こっていたはずなのだ。

起こってしまったことは仕方がない、あとは助けるべ、といった所作が、オトナだと感じ入ったのである。

◆観察記その2
それは突然の『オロローン』だった。

今朝の通勤電車、新橋駅に着く前の東海道線で、私の隣に立って居た事も気がつかないくらい気配の軽いスマートな白人男性(20代)が、突然自ら保持していたビニール袋にオロローンしたのである。しかも何度も。あれは何だろうか。二日酔いか、体調が悪かったのか。

袋を持参していたということは、予感はあったと言うことなのだろう。しかし、その若者は何度も続投していて、その袋は大変心もとないサイズであり、結構なタプンタプン具合に達しちゃったではないか。

そこで、私である。
驚いたことに、先日のサラリーマン氏よろしく、サッと体が動いたのである。その日のおやつ用にと家から持参していたクッキーの入ったジップロック(大)を、サッと取り出して中身を外し、
“ just in case “ とか言いながら手渡したのである。どんなケースやねんと自分でツッコミたくなりつつも、そのアクションは件のサラリーマン氏を彷彿とさせる鮮やかさがあった(笑)。

若者氏は、それを受け取り、白人が顔面蒼白になると本当に青ざめるんだと世間にわからしめるかの顔色で、『アリガトゴザイマス』と答えるではないか。その瞬間に、電車は新橋のホームに滑り込み、若者氏はジーンズのケツのポケットにそのジップロック(大)を突っ込んで、タプタプの袋と共に降車しどこかへと歩いていった。

実はそのジップロックは使い回し品で、前に子供が林間学校へ行った際に服が入っていたこともあって『2日目のきがえ』と謎の日本語が書いてあったことはきっと若者氏最後まで知る由もないだろう。

◆まとめ
で、まとめると、二度目だとわりと早く体が動いたってのが発見。きっと夜のサラリーマン氏もこんな風に過去に経験があって、それであんなに素早い対応だったんだろうか、などと感じた次第。

まぁ、基本的に吐瀉物は危険物だから、子供を持つ身としては危険因子を背負い込まない、感染しないことが先決でもあるわけで、そのあたりはうまいこと折り合いをつけていかなければなりませんね、とも考えながら。