『パパ、今日は夜の探検、行ける?』
夕食後に私が家にいると、必ず聞かれる。
息子氏が宿題や明日の準備を終えていれば、我々は夜の探検に出かけるのだ。
探検といっても、二人で自転車で1〜1.5時間のサイクリングをする程度だ。
行き先は、パパがサプライズで決めるのが楽しいのだそうで、息子にとっては『新しい発見がある』らしい。
昨日は地下鉄上永谷駅、その前はJR港南台駅、さらにその前は本郷台中央公園・・・そんな感じで目的地をざくっと決めて、そこに至る道を、往復同じにならぬ様に設定して走る。
小三の息子の体力は無尽蔵で、往復10kmや心臓破りの登り坂もまるで問題ない。
この前は雨に濡れたペダルを自らズリっと踏み外して大転倒したが、泣かずに復帰した。
木の根がアスファルトを下から突き上げた盛り上がりを利用した前輪ジャンプも、最近習得した様だ。
雨の日はカッパを着て出かけられるので、余計にハイテンションになる。
蛍光塗料のガッツリ塗られたタスキを身につけ、ピカピカ点滅するテールランプを装備して二人で色々話しながら走る夜道。
時折、ママには内緒ということで、ヤツの好きなすき家でミニ牛丼を振る舞ってやる。パパも一緒に並盛り食べちゃうw。たとえ夕食直後でも、男の子に牛丼はベツバラなのだ。生卵を豪快にかけるやり方も、教えてやった。いまは20時以降店内飲食出来ないから、その場合はテイクアウトして公園のベンチか何かで二人でガツガツ食う。牛丼はさすがにやりすぎだろうという夜は、コンビニアイスを買って二人で立ち食いだ。
きっと次第に飽きて、やがて息子の方から探検に行こうなんて言わなくなるだろう。
だからせめて、行こうと誘われているうちはすべて付き合って、何気ない小さな思い出を息子と積み上げたいと思う。