2016年2月5日金曜日

火曜日はドブラジーニョ

着任して以来、ずっと奇妙だと思って来た、サンパウロ独特の文化がある。
それは、ブラジルメシ屋でランチ時に提供される曜日ごとに決まったメニューだ。
日替わりならぬ『曜日替わり定食』とでも称すべきか。

月曜日 ヴィラード・ア・パウリスタ(豚のステーキ、バナナフライ、フェジョンの硬いタイプが一皿に乗った料理)
火曜日 ドブラジーニョ(牛モツと野菜の煮込み)
水曜日 フェイジョアーダ(ご存知黒フェジョン豆と牛肉・牛モツ・ソーセージ等の煮込み)
木曜日 パスタ
金曜日 魚
土曜日 フェイジョアーダ(水曜日に同じ)

となっていて、競合もなにも関係なく、市内のどの店も一斉に同じメニューを用意する。

もちろん、他のレギュラーメニュー的選択肢も用意しているので、それしか食べられないというわけでは無い。だが大半の客は、やはり慣れ親しんだノリがあるのだろう、今日は何曜日だからアレだよね、的な感覚でその曜日のメニューを注文するのだ。

これって、相当面白い風習だと思う。
日本で例えるなら、土用の丑の日はウナギ、が毎週やって来る感じと言えばわかり易いだろうか。

んで、そもそもこの習慣のルーツは?と調べたけれど、どのサイトもあいまいで、周りのブラジル人でも知っている人は少ない。そんな中でもよくまとまっているサイトはこちらであった。
http://mundoestranho.abril.com.br/materia/por-que-sabado-e-dia-de-feijoada

曰く、金曜日はキリストの磔に関連して、血の滴る赤肉を避けてお魚を食べるのだと。これはわかり易い。次に、木曜日・日曜日にシチューを食べるというポルトガルの影響で、フェイジョアーダが水・土曜日の食べ物になった。これは無理やり感が否めず、どうもピンと来ないのだが、少なくともどうやらこの風習はポルトガル人のノリから来ているらしい、ということがわかった。

何曜日だから何を食べようというこの話、なんとも奇妙な感じは未だに消えないけれど、それでも2年8か月もその環境下に住むと自分の中にだいぶ定着してきたから不思議である。

次はもっと大きなギモン、『ブラジル人はなぜナイフとフォークを左右逆に持つのか』に迫って行こうと思う。


(実は・・・)
前回掲載の「バカリャウ」、食べたのはたまたま金曜日だった。そう、つまり魚の日。
翌週、勢いよく会社の同僚を誘って「バカリャウを食べに行こうっ!」とあのお店に行ったらなんと水曜日フェイジョアーダの日だった。初めて行ったあのときは、カジュアルだけどシーフードに力を入れているお店なんだなと思っていたのだけど、実は普通の『美味しいランチ屋』で、普通に週替わりメニューを提供していただけだった、というわけ。結局その日は美味しいフェイジョアーダを食しました、とさ(笑)

2016年2月1日月曜日

絶品バカリャウ

バカリャウとは干し鱈のことで、ブラジルで良く目にする食材だ。
元々ポルトガル料理によく使われている食材で、このブラジルで見られる数少ない宗主国の影響のうちのひとつであると言える。

サンパウロは内陸ということもあり、シーフードに恵まれているわけではない。
しかしこのバカリャウは保存食ということもあり、このサンパウロでも出す店は多く、鮮度の不安も低く、比較的安心して食べることができる。

そして今日、やたらと美味いバカリャウを食わす店に遭遇した。
たまたま外出で時間が遅れたこともあって、ひとりランチを近所ですることになった。
せっかくだから新規開拓しようとぶらり訪れたのがこのお店。

そのバカリャウ料理が、これである。


伝わるだろうか。

ブラジルランチの醍醐味は、この一皿ランチスタイルだ。
主食はコメなので、どのお店でもコメをベースに一皿が計算されており、肉or魚のメインのソースを活用しつつ白メシを食らうという算段が捗るのだ。

このランチ、メインのバカリャウのグリルは、内面はほくほくで程よい塩気、表面はバジル・ローズマリーなどのハーブのたっぷりなじんだオリーブオイルでカリッとフィニッシュされているという逸品。そして軽めのラタトゥイユ的なソースがかかり、付け合せの菜の花・じゃがいも、パプリカ・玉ねぎのソテーはどれも素材の味を大切にした仕上げで、脇役にしておくには惜しい絶品具合だ。これらが渾然一体となった一皿は、その完成度たるやサンパウロいちの称号を冠してもいいってくらいだ(これホントにそれくらいの勢いありますから)。

少し飽きたら自家製ピメンタ(唐辛子とにんにくのオリーブオイル漬)をアクセントにしちゃったりもできます。
最後の一口は、主役と脇役勢揃いでフィニッシュとした(笑)



この素敵な盛りつけと洗練された味付けでなんと驚きの26レアル(本日現在785円)だ。希望者にはフェジョン(豆の煮込み・ブラジルのド定番・白メシにかける)もつく。

こーんな庶民風店舗、たしか名前はTio Chicoだっただろうか

写真一番手前の綺麗なプレートは私が感動しながら完食したあとだ。
Alameda SantosのTivoliホテル対面のブラデスコからTrianon公園方面へ100m歩いたあたりのランショネッチが並ぶ一角にある。サービスの店員さんの応対も素早く、会計のオジサンも愛嬌がありとても素敵なお店なのでした。今度は同僚を連れてリピートしますっ!

(あとから追加・お店情報)
※バカリャウは金曜日だけです!!!※
Tio Chico
Alameda Santos, 1478 - Jardim Paulista, São Paulo - SP, 01418-000 ブラジル