2014年8月23日土曜日

犬の散歩屋

サンパウロに10年近く駐在している弊社の人間によると、「この10年間で、サンパウロの犬の散歩は10倍増えた」という。この談話の信憑性はさておき、ここサンパウロはペットブームであることは恐らく間違いが無さそうである。実際、サンパウロの街を歩く際には犬の糞に最大限の注意を払わねばならないという現実がある。

さて下の写真である。これは単なる犬の散歩風景ではない。




















富裕層が雇う、犬の散歩屋である。小生の経験では、最多で8匹近い小型犬を一度に散歩させていたシーンに出くわしたことがある。写真でエンジ色のキャップをかぶる男性の前を歩くピンクの女性は、エンジ氏の娘さんであろう小学生くらいの女の子であった。つまり、家族総出で父親の稼業を手伝っているの図なのだ。

そもそも犬の散歩を人に任せて飼っている意味があるのかと、愛犬家から憤りの声が聞こえてきそうだが、それがサンパウロスタイルなのだ。もちろん全部が全部ではないだろう。自分で自分の愛犬をゆったり散歩させている人の数も、もちろんかなり多い。でもそれに肉薄するくらいに、散歩屋稼業は大繁盛である。都市部ならではの時間を金で買う価値観が、ここにはある。

幼い子供をBabáといわれるベビーシッターに預けて共働きと言うスタイルも多い。この国の幼稚園や小学校は半日スタイルがポピュラーであるから、そうした仕組みがどうしても必要になる訳だ。リッチであれば子育て以外の家事全般をこなす常駐の家政婦も、別途雇う。平日のスーパーにはそうした家政婦が代理で買い物をしている光景を良く目にする。

一方で市民の憩いの場、イビラプエラ公園では、こんな光景にかなりの頻度で出くわす。


 
















犬と一緒にジョギングである。これは犬にとっては嬉しいことこの上ないイベントだろう。

様々なライフスタイルがあって、それを支える様々な稼業がある、そんなサンパウロなのである。

2014年8月11日月曜日

ぱぱがんばって

「ぱぱがんばって」
Skypeで話していた娘がくれた、明朝に控えた9kmマラソンレースへの激励の言葉。恐らく、横で耳打ちする妻のセリフをそのまま言っただけっぽい雰囲気はあったのだが、なにしろ娘から初めてもらった励ましの言葉だ、嬉しかった。

このレースはここサンパウロではほぼ毎月の頻度で良くある草レースの、しかも9kmという短い距離のものだ。何の気なしに普通に消化しようと思っていた。冒頭の言葉は、そんな自分に火を点けた。

サラリーマンはスポーツ選手にあこがれる。誰もが過去にそういう時期があったように、スポーツで周囲を驚かせ、感動させるということを現在進行形で示している彼らにあこがれる。だからこそ、土日夜のスポーツニュースを何度も見るのだ。自分自身を投影させて、時には涙ぐみながら。自分はもう、そうはなれないと思っている。

しかし娘の激励で気が付いた。対象が自分の家族限定ではあるが、自分だっていつでもヒーローになれるのではないか。自らが努力して向上している様を子供達に見せることが出来れば、何物にも代え難い教育になるのではないか。そう思い、モードを変えて走ってみようと決意した。毎朝走っている「調整」モードではなく、本気でベストタイムを目指して走ってみよう。

そうして出した自己ベスト9km 4044秒。キロ平均4分25秒。最近の自分のペースを考えると、胸を張れるレベルだ。大げさだけど、娘のことを想って、娘に捧げた走り。まだ4歳だから伝わらないけれど、この文章がいつか大きくなった彼女に届くといい。