2015年3月17日火曜日

サービス業、ブラジル流につき

ブラジルのサービスについてはこれまで何度か書いてきた。今回は怒りに打ち震えている。
常日頃から些細なことに心を動かされる自分だけれど、ここまでみじめな思いに突き落とされるのは我慢ならない。とあるクリーニング店の話である。

サンパウロではよく停電に見舞われる。雷雨の影響や、突然の断線など結構な頻度で発生する。オフィスビルや住居用マンションなどは通常自家発電機を備えており、停電発生後ほどなくして代替電気がすぐに供給されるものだが、今日に限ってそれが不調であるらしかった。弊社事務所はネットも繋がらなくなり、午後遅かったこともあり社員は皆早退し自宅勤務となった。

小生も早々に帰宅し自宅でemailなどを処理した。幼稚園バスを迎えるなどいつもには無いことが出来てちょっとしたボーナスを味わえた気分である。ボーナスついでに夕食までの時間に散歩でもと思い立ち、子供二人を連れだって勤務先ビル付近にあるクリーニング店に仕上がっている衣類を引き取りにいくことを思いついた。

その店は自宅からは徒歩78分程度だが、子供二人を連れて散歩がてらということでゆっくり歩むと片道15分ほどの道のりだ。途中小雨が降り始めて傘も持たず、これはしまったと思いながらも、せっかくの夕方のひと時を子供達と楽しもうと色々と話しつつ歩いた。クリーニングとは何か、なんでそんなことするのか、どうして大きな手提げが必要なのか、みたいな問答をしながら。雨がひどくなれば帰途はタクシー(300円程度)でもいいやなどと思っていた。

到着してみると、店は閉まっている。

改めて営業時間を確認してみる。
月~金、07:0018:30と、店のドアにある。今日は月曜日、現在時刻17:55である。
電話をかける。ガラスのドアを隔てたすぐそこの店内の電話が鳴る、誰も出ない。

店は会社事務所と同じ街区にある・・・。
つまりアレか、停電したから早々に店じまいしたということか。しかし何の張り紙もない。

ブラジルのサービス業って、そんなもんか。
かようにいとも簡単に客の期待を裏切って良いものなのか。

理由や真相はわからないが、営業時間内に閉店したという結果自体が、その店の姿勢を物語っている。ドアに掲げられた『2014年ブラジルベストフランチャイズ店トップ5』の称号が、空々しいこと甚だしいぞ。

自分ひとりならまだしも、こちとら子供も連れてクリーニング屋さんについての社会科教育の一環でもあったのだぞ。その機会を平気で踏みにじるのか。しかも雨に濡れながら歩いてきたのだぞ。ひとたび営業時間として謳ったならば、それを守らずして何の商店たり得よう。

電話してから行くべきだった?確かにそのとおりだ。もうすぐ2年経とうとしているブラジル生活にまだ慣れてない自分を責めてみる。あのエリア一帯が停電していたことは、警戒するに充分な判断材料を与えてくれていた・・・。だがしかしだ、それで良いのかブラジルのサービス業よとつとに思う。サービスを受ける側の消費者サイドも『この感じ』に慣れているからクレームにもつながらないこの国・・・。ブラジルの消費者は哀れだ。そして事業者は少ない競争にあぐらをかき続ける。

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こちらのマクドナルドにも100円マック的なものがあって、ソフトクリームはよく売れている商品である。ポルトガル語でカスキーニャである。大多数の店舗には、カスキーニャだけを提供する別カウンターが用意されているほどである。それには3種類のメニューがあって、バニラ、チョコ、そしてミックスだ。うちの娘はミックスが大好きで、それ以外は食べはするものの、あまり喜ばない。

土日の外出の際に車で移動中など、グズり始めたらこのマクドナルドのカスキーニャをドライブスルーしてなだめたりするのであるが、このカスキーニャがやたらとよくアカボウするのである。アカボウとは終わるという動詞の過去形、つまり『終わった』である。

ミックスをオーダーすると、店員がアカボウという。バニラがアカボウしたからチョコしかないのだと。別の店ではチョコがアカボウでバニラだけだというのもあった。昼過ぎくらいの時間帯である。サプライチェーンマネジメントの雄たる世界のマクドナルドさんが、午後イチに原料切れはあり得ないだろう。こちとら子供がミックスでなきゃグズりが直らないってんだよ。

ブラジルの人によると、安い商品だから仕方がないのだそうだ。確かにそのとおりである。絶望感を味わいたくなければ、そんなファーストフード店で100円なにがしの商品などに頼らなければよい。しかし何度それを聞いても私の気は晴れないし、マインドセットを期待値の低いものに切り替えることが出来ない。はたしてそういうことなのか?彼らの、サービス提供者としての矜持がみじんも感じられないことが残念でならないのだ。そしてそれに慣れてしまっている消費者のスタンスも、憤ろしいではないか。カウンターに立つアカボウ発言連発のバイト達も、いかに機会損失があったかを上席に報告しないだろう。だってアカボウしてるんだからどうしようもないじゃない。『停電したから店閉めた』クリーニング店と同じだ。

何度もアカボウ攻撃された後、また別の日に子供のグズリが始まって「さすがにバニラ・チョコ両方無いってことは無いだろう」などと話しながらドライブスルーに入ったら、『機械が故障しているからカスキーニャ自体がアカボウ』ということがあった。

そういえばバーガーキングでは、リフィルフリーのソーダドリンク付きのセットを頼んだ後、ドリンクカウンターに回ったら、『たったいま炭酸が切れた。炭酸無しだったら出せるが何にする?』と言われたこともあった。

この国で日本式のサービスを提供すれば絶対に勝てると思うけれど、そうした人材を集めることも一苦労なのだろう。しかしただただ、残念でならないのである。頼むから子供を巻き込んで絶望のどん底に叩き落さないでほしいのである。


こうしたことを経験しながらも、これからも自分自身を、一般のブラジル人の様に『憤りを感じさせない体質』に変えていくつもりはない。

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