ブラジル人はビーチが好きだ。休暇があると、家族親戚や仲間と一緒にビーチに行く。なんでブラジル人はそんなにビーチが好きなんだ?とかつては訝しんでいたのを覚えているが、そんな自分も、いまではすっかりビーチ好き人間だ。
| ペルナンブコ州ポルト・ジ・ガリーニャス Praia do Cupeにて2016年末撮影 |
駐在3年半の間に行った複数のビーチ体験を通して私が理解したのは、ブラジル人にとって、ビーチ(ポルトガル語で『プライア』)は単なる浜辺ではなくて、また、日本人がイメージする海水浴とも違って、特別な意味を持つということだ。ではブラジル人がプライアで何をするかというと、実は、何もしない。いや、ここは敢えて「なにもしないをしに行く」、と表現すべきだろうか。
仲間と一緒に出掛けて、海の家が無償提供するパラソルの下、何もせず、日がな一日ビールを飲む。皆でお喋りに興じて、なんてことない海の家のありきたりな肴をつまみながら、チェアに座ってなにもしないのだ。涼む為に海につかることはあれど、泳ぐことはほとんどなさそうだ。モクモクBBQなんてしている人間も居らず(そもそもブラジルのビーチではBBQ禁止である)、ひたすら、座って、しゃべって、ゆっくりと飲んでいる。
そのプライアでの装いだが、かなり高い確率で女性はビキニ、男性はスンガ(競泳用ブーメランとボクサーとの中間の様な形)である。しかも女性はほぼほぼTバックに近い。最初はビックリしたが、慣れると何も感じなくなった。日焼け止めはばっちり塗るが、老若男女、カラダに自信がありそでもなさそでも、肌の露出を隠すことは無い。ここにも日本人と対照的な、ブラジル人の生き方が出ていると思う。
ニホンジンとしてこの国に赴任して最初のころは、『プライア行ったか?プライアはいいぞぅ』なんてことを聞かれるたびに、なんでみんなそんなにプライア推しなんだ?特に海がものすごくきれいな訳でもないのに、などと思ったものだが、いまはわかる。
気心の知れた仲間内で、開放的な天気の下、これまた強烈に開放的なビキニやスンガ姿で座って日がな一日なにもしないことは、これ人生最大の贅沢と言えるかもしれないと。そして優雅に人の目を気にせずに自分自身のリラックスの為だけに時を過ごす人々の姿を見るにつけ、プライアにこそブラジル人の生き様が現れているのだと思うのだ。
かくして私も新しく赴任した駐在員にこう説くようになった。『プライアはいいぞぅ』と。
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