2013年7月14日日曜日

入院を通して考えたこと

■血尿と腎結石
前回71日の更新を最後に、ブログの投稿が出来ませんでした。それは73日に血尿が出て、4日には腎結石とわかり入院して手術していたからです。手術と言っても開腹手術ではなく内視鏡で行う石の破砕術でしたのでシンプルなものでした。ですが全身麻酔でしたので、実に30年前、7歳の時に鼠径ヘルニアの手術で一度経験して以来の出来事を、サンパウロ赴任後1か月で体験したのでした。

術後一週間経過の昨日7月12日(金)には、腎臓から尿道にかけて留置されていたステントが抜け、これで晴れて元通りの身体となったので、今日土曜日はサンパウロ市民の憩いの場Parque do Ibirapueraに走りに行ってきました。本当に久しぶりの、すがすがしい週末を過ごしています。夕食にはスーパーで買い出しをしてトマトソースのパスタを作ってルームメイトと一緒に食べました。彼はそれと聞いてワインを買ってきてくれて、「おいしい」と言って食べてくれましたがはてさて味は大丈夫だったのだろうか。。。(笑)

■周りのサポート
今回のことを通して、職場の皆さんの多大なるご協力を頂きました。家族が来る12月までは独身なので、上司の奥様には栄養のことを心配して食事を運んで頂いたりしました。診療を受ける際には、同僚にポルトガル語の通訳をしてもらいました。それも一度でなく、何度も病院に同行してもらってのことです。本当にありがたいことでした。もし将来我々のサンパウロ事務所が拡大して多くの若いヤツらが赴任してくるようになって同様のことが起こったら、必ず彼らにこの恩返しをしたいと思います。もちろん、そのときまでに僕がポルトガル語をマスターしていることが条件です。

ところで今回入院した病院は、上司の配慮でサンパウロで一二を争う上等で高級な病院こと”Hospital Sírio Libanês”というところで、なんでも2009年にガンを患った現大統領のジウマ・ルセフ女史もこの病院に入院したとか、前大統領のルーラ氏も咽頭ガンで入院したなどとという、実に由緒正しき病院に入れてもらったのでした。名前の由来はシリア・レバノン系移民の手によって設立された病院とのことで、日本以外の国ではよくあることですが、医療はお金をかけただけ良いレベルのサービスを受けられるというアレです。当方の費用は保険でカバーされていたので、かように良き病院に入ることが出来たという訳ですから、この点も会社の制度に感謝です。

さて症状が出てからの話ですが、最初のスクリーニングを終え、総括しに来た一般医から『ということで、検査の結果、腎臓にある石が犯人と思われますんで、街の泌尿器科で更に専門的な診断を受けてください』と言われて、いったんはそこでおしまいになりそうになりました。しかし問題を先延ばしにしてこれ以上時間をかけたくなかったので、今すぐ専門医と話がしたいと申し出て、その病院の専門医を呼んでもらうことになったのでした。すると一般医氏、すぐに懐から出した病院内携帯で専門家と話し、彼が15分で来てくれるということになりました。泌尿器科医はポルトガル語でurologista「ウロロジスタ」といい、本当に15分後に『私がそのウロロジスタです』といって現れたのが白衣ではなくセーターにスラックス姿の御齢70手前かと思しき好々爺だったときには思わずのけぞりそうになりました。まさかあなた執刀しませんよね、みたいな・・・。

Dr. Jamil Chade, urologista at his clinic Centro Médico Chade
■高名なドクター
Dr. Jamil ChadeDr. ジャミウ・シャージ)というお名前は忘れません。実はその好々爺の彼こそがサンパウロ泌尿器科業界を代表するビッグ・ネーム(協会長をやっていたりする)であり、彼の個人クリニックにはいまだに患者があふれかえる、そんな売れっ子ドクターだったのです。ですが施術前はそんなこたぁわかりっこない訳ですから、ひたすらにビビりました。じぃさん、手が震えてレーザーで違う臓器を傷つけてしまうのではとか、内視鏡ビジョンちゃんと見えるのかとか、いろんなことを思いましたが今思うと杞憂以外のナニモノでもなかったということになります。

その後、CTスキャンで造影剤を投与されながらさらなる検査を受け、すぐに手術という段取りになりました。その段取りの速さも、やはり凄腕のジャミウだからこそのスピード感だったのかと頷ける次第です。院内の至るところに笑顔でナシをつけて段取っちゃうあたり、チャーミングなジャミウならではの芸当の様な気がします。もっとも僕の支払い手段が保健機関のフルカバーだということを知ってのことかもしれませんが、それこそ邪推というものでしょう。

術後、一週間の経過観察を経て病院の道を挟んで向かいにあるジャミウの個人クリニックへ向かいました。ステントを抜くためです。痛いのか痛くないのか全く説明がなかったので、その一週間はたいそう心配したものでしたが、あまりにアッサリと抜けたので拍子抜けとハッピーとないまぜになっているそんな表情の僕に向かって、『先日採った石の成分を分析して、今後のあなたの食事制限の方針を決めましょう』と語るジャミウの姿は、今までで一番頼もしく感じたのでした。センセイ、ついていきますっ!

■健康であることの意味
今回のことは、僕にとって大きなインパクトをもたらしました。いままで入院などしたことがなかったからです。健康という担保が損なわれると、自分がとたんにサラリーマンとしてもしくは一家の大黒柱としてえらく頼りないものになってしまう、そんな体験をしたのは大きな意味を持ちました。結石の原因は、おそらく20代後半からいままでにかけての10年弱、東京本社勤務という環境下で、とにかく奔放にやりたいようにやってきた食事と、とにかく運動してこなかったことが全て形になって表れたものだと受け止めています。これが石で良かったと思います。娘は3歳半、息子は6か月と、まだまだパパがんばらねばなりません。今回、離れた土地で健康を損なって家族に心配をかけてしまったので、これからは食事内容を一気に切り替えて、適度な運動をし、身体の中身をそっくり変えていく、そんなふうに決意しました。今回このタイミングで啓示が得られたのは、ほんとうに幸運でした。節制をがんばります。メールで欠席しますと書こうとすると、『結石します』と変換されるうちは、少なくともこの決意は消えないと思います。

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