コーヒーを中心とした農作物の仕事の出張で、25か国ほどの国を回った。そうした国々を眺める中で、バナナ経済圏という、ある一定の共通項を持つ国やエリアが存在することが紡ぎ出されてきた。
コーヒーは、赤道を挟んで北緯南緯25度以内に挟まれた地帯の、標高や気候の特性など多様な環境条件がマッチする場所で栽培される。そして、バナナはコーヒーが栽培できる場所にはたいてい生えている。そう、植えられているというよりは、『生えている』のだ。
コーヒー生産国の中でも標高が低いなどしてコーヒーが生育できない環境にあっても、バナナは生えている。バナナは生育環境を選ばず、強く、そして生育も早い。幹はドンドン成長するし、フルーツもバンバン実り、年に何度も収穫できる。
そしてこのバナナ、フルーツを提供するだけでなく、大振りで肉厚な葉や茎は建材にもなる。簡単な住居であれば、これらを編み込んで壁を作る国は多い。そして茎の繊維は、衣服やカゴ等の部材となる。
つまりバナナは、衣食住のすべてを供給するオバケ産物なのだ。
このバナナが出来る国では、人々は生命の危機に直面しない(しにくい)。
なので楽観的な民族性が育まれる、と思うのだ。
だってそうだろう。放っておけば食い物が実り、建材も供給し、衣服や雑貨の原料繊維も供給してくれるのだ。日本や北方に位置する各国の様に不毛の冬もなく、やせた土地を耕す必要はない。そこで暮らす人々の眉間にしわが寄りにくいと思うのである。
反対に、バナナ経済圏では窮屈な社会システムなどは成立しにくく、効率を追い求めようとするマインドが育ちにくい様にも感じる。
どちらで暮らす人々が幸せか、これは答えの出ない永遠のテーマだと思うが、数多くの国にまたがる共通項を発見したので、これをバナナ経済圏と命名して書き留めておきたいと思った次第である。
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