2016年10月27日木曜日

名前を呼ぼう

ブラジルのショッピングモール内で警備員に道を尋ねるとする。

警 「おー、そのお店はね、まずあの角を左に曲がるだろ、・・・ えーとキミ名前なんだっけ?」
私 「Timóteo(こういう時にだけ使う僕のブラジルニックネーム)」
警 「OK Timóteoさん、それで突き当たるとエスカレーターがあるからね・・・」

と言う風に続いたりする。
私が呼び掛けられるのは、そのたった一度きりだったりするのだけれど。

子供の病院で初診手続きをしているとき、 氏名年齢住所既往歴などと進んで、登録完了、次のプロセスの説明の段になって受付員が、

受 「えーと、あなたのお名前は?そう。お父さん、あなたです」
私 「Timóteoです」
受 「Timoóteoさん、あなたのお子様は次にレントゲンの部屋に行ってもらいます。その次は・・・」

という感じになる。きわめてしばしば、そうなる。
そしてやはり、一度きりだったりするのだ。

上の二つだけ見るとなんともマヌケな感じもしないでもないけれど、名前を呼ばれた途端に親近感が湧くのは間違いない。


その他ビジネスシーンにおいても、先方が説明を始めたときに、途中で思い出したように相手の名前を呼び掛けに使うことがある。きっと長い説明のワンクッションとしての効用とか、強調したいポイントにさしかったときに相手のAttentionを惹きつける効用などがあると分析している。

これは日本人にはなじみの薄い文化だけれども、効果は大きいのではないか。
ひょっとしたら日本でも意識して実践している人や、営業テクニック本なんかにはもう書いている人がいるのかもしれない、なんて思いながら、文化の違いを咀嚼する日々。

自己責任

通勤で街を歩いていたら、7mほど先に枝がボーンと落下してきた。
破片が粉々に飛び散る様を眺めながら、そういえばここはサンパウロ、いかんいかん気を抜いていたなと自らを戒めた瞬間だった。



ブラジルでは樹木を勝手に伐採すると処罰されるため、木々は老体だったりする。とりわけ長い雨の翌日などは要注意で、こうした落下が起りやすいコンディション。それを忘れていたのは自分であり、20m上から枝が落下して来てアタマから流血しても自己責任だから注意しなきゃいけないのだ。アブナイアブナイ。

その昔公園で子供を遊ばせていたら、 目の前に石の塊がどこからか落ちて来て着地・破裂して娘が脛に軽い傷を負ったことがある。別の公園では風の強い日に息子の1m目の前に巨大な枝が落ちてきたことがある。この3年たまたま災難を免れてきたわけだが、いつ大きな怪我をしてもおかしくなかった。

車の運転にまつわる自己責任はかつて 研ぎ澄まされる人々 や 穴があったら・・・ の項で書いた。ここサンパウロでの街歩きについては防犯対策とこうした環境対策の両方に備えなきゃいけないのだ。

日本でも幕末なんかは志士に斬られない様にとか、戦後間もないころにはどさくさがあって色んな本能を研ぎ澄ませていたのだろう我々日本人。今の日本だとこうした感覚はマヒしちゃう。ここサンパウロではヒトとしてある意味正常な防衛本能みたいなものを育ててくれるので、その点は感謝なのである。

2016年10月26日水曜日

タクシスタ・メネゼス (Sr. Menezes)

タクシスタとは、タクシードライバーのことである。

彼と出会ったのは、2013年の11月頃だった。もうかれこれ3年近くの付き合いになる。
彼の名はメネゼス(Menezes)。私がブラジルで最も信頼するタクシードライバーだ。

■なれそめ
自宅最寄りのタクシーポント(タクシー乗り場・・・免許制で一軒1015台の枠がある)認定のドライバーである彼は、僕が家具屋で買った家具を引取りに行くときに利用したのが初めての出会いだった。

週末に自分の車で家具屋に行き、キッチンワゴンを買ったのだがトランクに入らなかったという珍事があり、あくる月曜日の夜、その大物家具の引取りの為だけに出直したのだった。買ったその店で配送を頼むよりタクシー代を支払った方が安く済むし、『朝の9時~夕方の18時の間』などというふざけた配送期間を待つよりはるかにストレスが低いからである。

乗って挨拶を交わし、私は「どこどこの店に行って家具を引き取るから待っていてほしい、そのあとまたウチに戻って来るので往復乗せてほしい」とオーダー。メネゼスはわかったとのことで走り出した。ここまでは普通だった。驚いたのはその後だった。

お店について家具を引取りに行って戻ってくる間、彼は料金メーターを止めていたのだ。
こちらからは何も依頼していない。私はその瞬間、彼に色んな仕事を依頼することに決めた。そしてその判断は誤っていなかった。メネゼスが約束を違えたことはこの3年の間、一度もないのだ。

■束縛しない関係性
私は仕事でもプライベートでも、ほぼ全てのタクシー仕事を彼に集めて発注した。空港に行くとき、客先へ外出するとき、家族が私の仕事中にどこかへ行かねばならないときなどなど、実に様々なシーンで彼に電話して仕事を依頼した。遠出の場合は前もって予約して、彼のスケジューリングを助けた。他の会社同僚からの遠出の出張依頼も、彼に回すよう斡旋した

とりわけ便利なのは、事務所から空港に発つお客さんを乗せて行ってもらう時だった。流しのタクシー捕まえてさようならでは心もとない。ポルトガル語しかできないメネゼスだが、問題があれば電話で協議できる良さがある。もちろんお抱えではないので、彼の都合が合わなければ他に頼むという、お互いに束縛の無い柔軟な関係性だ

■アプリの参入
その彼が、この1年で収入半減の危機に直面しているという。
UBERとその他タクシーアプリによる一般車の参入により、供給が急増したのだ。
私の様なガイジンにとっては、流しのタクシーに乗って問題が起こってその都度ハッスルするのはたくさんだから、メネゼスの様な固定のタクシーを利用するメリットがまだある。だがブラジル人同僚には、もはや既存のタクシーには何のメリットも無く、もっぱらUBER利用なのだそうだ。規制業種、既得権益、守られた職種は今後ますます競争にさらされる流れにあるだろう。


今日も自家用車を車検に出した帰り道、事務所まで40分の道のりをメネゼスに送ってもらった。アッサリ説明でも現地集合してくれて、勿論約束の5分前到着思えばこの車を買ったときも、メネゼスに乗せてもらって同じディーラーに車を取りに行ったものだ彼は私のブラジル人生のwitnessとして寄り添ってくれている。非常に口下手なメネゼスだが、今後も規制緩和の荒波を乗り越え、ドライバー業で成功し続けることを祈ってやまない。

2016年10月22日土曜日

あなたの息子はブラジル人ですか?

ブラジル人との会話のワンシーン。

ブ「奥さんはブラジル人?お子さんは?」
私「いや、妻は日本人だよ。子供は二人いる。」
ブ「お子さんはブラジル人?」
私「いや、日本人だけど・・・ (なんで?)」

ブラジルではしばしばこういうやりとりが起きることがある。
相手は、私が日本人であることを知っている。
そして最初の問答から私の妻も日本人だということが既知。
それなのに、なんでその二人の子どもがブラジル人である可能性があるのか。

答えは最近わかってきた。
彼が聞きたいことは、ブラジル人かというより、ブラジルで生まれたのか?ということなのだ。

ブラジレイロ(Brasileiro)というのがその彼の使った単語なのだけれど、日本語に訳すと、それは『ブラジル人』というより、『ブラジルで生まれた人』を意味すると解釈したほうが良い(局面もある)。

ここ移民国家ブラジルでは、実に様々な人種が混在している。
19世紀後半に奴隷解放があり、労働力を必要としたコーヒー農園主が政府に圧力をかけ、積極的な移民政策が始まったこの国では、最初はドイツイタリアなどのヨーロッパ各国、そして日本へと移民誘致を広げていった経緯がある。

なので移民到着後から即戦力として人を使っていかねばならず、元より人種やルーツにこだわらない性質の社会が出来上がったのではないかと推測するのである。

地球の反対側のこの国では、季節も正反対なら国民性も真逆と言えるほど違う。そして移民政策についても日本と正反対であるのが面白い。

やさしい外国語



私見だが、ポルトガル語は日本人にとって易しい。
こう言い切りで書くと語弊があるかもしれないが、英語に比べるとだいぶ習熟が楽だと感じている。

理由は二つ。 
①発音の許容範囲が広い
②語順が多少入れ替わっても意味が通じる
ということで易しいのだ。

で、これは、韓国語にも通じる優位性だと思っている。
韓国語はさらに、語順については日本語と同じという優位性を持っている。(文字がユニークという意味で減点もあるので総合点は行って来いだが) 

常々思っていることだけれど、日本人が最初に習う外国語をラテン系か韓国語、はたまた同様に上記2点の優位性を持つ他の言語にすれば、外国語スピーキングアレルギー』とも言える症状を減らせるのではないかと思う。というのも、そもそも英語は日本語とは発音体系が著しく違うし、語順に対してルールが厳密であるから、日本人には割とハードルが高いと思うからだ。 

また 、一部の専門家を除いた大部分の外国人にとって、外国語を学ぶ目的はあくまで「意思疎通」であり、キレイな発音や文法的に正しくコトバ並べをすることではないはずであり、またスピーキング/ヒアリングの重要度が高いはずだ。

発音と語順比較的容易なこうした外国語で異言語コミュニケーションに慣れた後、第2外国語で英語を習えばシナジー効果も手伝ってその習熟スピードも上がると思う。

ま、実際には外国語は二つも要らないとか、マイナー言語を最初に習得する時間がもったいないとかいう話が浮上して政策として実行するのは難しいのだと思う。けれど、もし英語で行き詰った人がいたらそれにこだわる必要はないんじゃないかなって気がする今日この頃なのです

(私は大学で2年間韓国語、1年間スペイン語を学び、いまブラジルでポルトガル語を習得しましたので、上記の様に偏った言語についてのみ書いていることご容赦ください)

絶品D級グルメ



見つけてしまった、ブラジリアン絶品D級グルメ。

それはミナスジェライス州都ベロオリゾンテ市から国道262号線を車で2時間半西に走ったところにあるドライブインの有名なテイクアウトフード。

要はポンジケージョで作る豚肉サンドイッチで、手のひらサイズの一個約200円くらいとリーズナブル。見てくれに反して重みはズッシリ。ひとつで牛丼並盛くらいの腹持ち感はあろうかという代物。

豚モモ肉のローストを、グリルした玉ねぎともろともにポンジケージョで挟むというジューシーでダイナミックなサンドイッチで、名前をSandwich de Pernil no Pão de Queijoという。デカいもも肉ローストを、オネーサンがその場でサーベルでゴリゴリ切ってポンジケージョに盛っていくその様は豪快。


肉はホロホロで柔らかくグリル前にタレで漬け込んであるからジューシーで味わい深く、それを包むポンジケージョが持つ独特の餅の様な食感と塩気とが絶妙にマッチ。気が付けば2個一気に平らげてしまい、その後夕食はスキップしました(笑)

つくりかた、パン、具、味と、どれをとってもとにかく日本では例を見ない、一見の価値ありの食い物なのでした。


お店情報

Café e Restaurante Barril 514
BR 262 - KM 514 Luz, Minas Gerais, Brazil

2016年10月20日木曜日

立ち仕事(続報)

立ち仕事を始めて2週間以上が経ち、すっかり慣れました。
タイミング良く手ごろなサイズの日本製の空の段ボールが手に入ったので、サイドテーブルにしてみました。ここにはケータイやカフェを置きます。

日本製の段ボール箱は優秀なので、 スタンディングスタイルに磨きをかけるツールになり得ます。これからますます研究が進みそうです。

従来スタイルのオフィス環境への適応性(わざわざそれ用のオフィス家具を買わずに済む)を考えると、この段ボールスタイルはかなり優秀なオプションではないかと思う次第。誰でも明日から導入できるし、総務部からのクレーム(?)もないでしょう。

一方で巷にはスタンディングなワークスタイルへの疑問も提示されていたりします。
http://wired.jp/2015/10/20/standing-desks-no-replacement/

ですが僕はこの主張には違和感を感じます。

というのも、こうした主張の趣旨は、どんなポジションでも同じ姿勢を長時間続けるのは良くない、だから座っていても立っていても同じだというもので、一方、僕が立ち仕事のadvantageと感じるのは、「簡単に動けること」だからです。

スタンディングスタイルだからといってずっと立ちっ放しであることを強要するものではないのです。立っていることで、ポジションを柔軟に変更できるのが良い事なのです。書き物をしたければ座ればよいし、ふらっと相談に来た同僚に対してすぐに聞きのポーズをとれるし、電話で席を外すときにスッと動けるしと。そうした柔軟性にこそ、立ち仕事の極意はあると思うのです。

ってなわけで、レポート継続して参りますっ!

2016年10月3日月曜日

立ち仕事


私、本日より、立ち仕事を始めます。

18年間オフィスワークをしてきて、常々疑問だったこと、「なぜ座らなきゃいけないのだ?」を解消する手法としてスタンディングデスクを導入しました。

元来落ち着きのない自分。
座るとあからさまにパフォーマンスが落ちる。目に見えて分かる。
逆に立って議論したり、歩いていたりすると、アタマが整理されて次々と色んなことが浮かんできたりする。これ、なんとかならんのかなぁとずーっと思い続けてきた。会議も立ってやりたいってずっと思ってた。

解は本当にシンプルで、「立てば良い」のだと。

ふと読んだネットの記事が、18年に亘る積年の課題を一気に解消してくれたのです。
週末に読んだそれによると、すでにIKEAやオフィス家具の岡村製作所ではスタンディングデスクが販売されているというではないか!しかも集中力上がる、健康にも良いって(←実証データはまだ無い様子)いいことづくめじゃん!!!やっぱり自分間違ってなかったのかーと。

また、ある記者がお勧めするには、専用机を買う前に、まずは段ボール箱を既存の机の上に置いて試してみたらいいとまで書いてある。これすぐ実行でしょ!月曜日、家にあった一番丈夫な段ボールを会社に持ってきて、中身を詰めて、実験開始しました

効果については、これから追って書いていきたいと思っています。
いやー、変えるって素晴らしい!